妖精データベース
レプラコーン
Illustrator : にらろーる
- 名称 レプラコーン(Leprechaun)
- 別名 ルーリカーン、ラバーキン
- 分類 人型の小妖精
- 生息地 雑木林の中の作業場、マルメロの木の下
- 特徴 優れた靴作りの技術、莫大な財宝を隠し持つ
- 体長 子どもの膝~成人の腰の高さ
靴を作り続ける凄腕の職人
レプラコーンとは ―頼れる靴職人―
レプラコーンは靴職人の妖精である。彼らの出身地であるアイルランドでは、「レプラコーン」という名前が妖精そのものを指し示す言葉として使われることもあるほど、ポピュラーな妖精だ。
レプラコーンは主に、妖精たちの靴を修理したり作ったりしている。妖精たちは踊るのが大好きなので、靴をすり減らしたり壊してしまったりすることが多い。そのため、妖精たちは腕の良いレプラコーンに絶大な信頼を寄せており、靴が壊れた場合はすぐにレプラコーンの作業場に向かうという。
レプラコーンは多くの妖精から靴に関する仕事を請け負っているので、かなり儲かっているという噂がある。そのうえレプラコーンは倹約家なので、壺に入りきらないくらいの金銀財宝を貯め、どこかに隠しているらしい。
作業中は静かに!靴づくり一筋の妖精
レプラコーンは、ごま塩のあごひげを生やしていて、とがった鼻とギラギラとしたまなざしをもつ老人の姿をしている。服装は赤いジャケットに、茶色い半ズボンを履いていることが多い。作業をする時は銀の留め金がついた鉄板入りの黒いブーツを履き、革製のエプロンを身に着けている。
基本的に陽気ではあるが、仕事中は黙々と作業を行う。仕事の邪魔をされることを嫌うため、レプラコーンが靴とにらめっこをしている間は話しかけないほうが良い。
このように、レプラコーンは優秀な靴職人であるが、人間がレプラコーンに靴の制作や修理を頼むのは難しい。何故ならば、彼らの身長はせいぜい30cm~90cmほどで、人間の靴はあまりにも大きすぎるからである。ただし、かなり多額の報酬を支払えば引き受けてくれることもあるという。
片足分の靴しか作らないレプラコーン
靴づくりに関して優れた技術を持つレプラコーンだが、実は片足分の靴しか作ってくれないという不思議な性質がある。その理由については諸説あるが、ここではそのうちの2つを挙げよう。
- 1.身長が小さいので、片足を作るだけで精一杯だから。
- 先ほども述べた通り、レプラコーンの身長は小さいので、彼らは片足分の靴を作るだけで体力的に限界を迎えてしまうのだ。
- 2.依頼される仕事が多すぎて、片足しか作る時間がないから。
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妖精たちは本当によく靴を壊すので、レプラコーンへの依頼は途絶えることがない。限られた時間の中で成果を出すために、何とか片方の靴だけでも仕上げようとレプラコーンは考えているようだ。
妖精たちはこの事情をよく理解していて、片方の靴がだめになってきた時点でレプラコーンに依頼を出すようにしているという。なお、特別料金を払ったら両足分の靴を作ってくれたという話もあるが、どこまでが本当かは分からない。
レプラコーンは仕事の話に関しては基本的に熱心であるものの、片足分の靴しか作らない理由について聞くと沈黙してしまうため、謎は深まるばかりである。
レプラコーンの財宝はどこにある?
レプラコーンがコツコツとため続けた財産は、土の中や森の中などに隠されているらしいが、見つけることはほぼ不可能である。ただし、レプラコーンを捕まえた場合は財産の隠し場所を聞き出すことができ、彼らに隠し場所までの案内もしてもらえる。
しかし、道案内をしてもらっている最中にレプラコーンから少しでも目を離してしまうと、彼らは悪戯を仕掛けてたちまち消え去ってしまう。レプラコーンは賢く、人間の気を散らせるのが得意なので、大抵の宝探しは道半ばで失敗してしまう。そのため、レプラコーンの財宝の在り処は未だに分かっていないままなのだ。
とはいえ、レプラコーンがせっかく築いた財産を奪ってしまうのはあまりにも不憫なので、彼らを見かけたときはそっとしておくべきである。
― 関連書籍 ―
- テリー・ブレヴァートン著/日暮雅通訳(2019)『図説 世界の神話伝説怪物百科』- 原書房
- ポール・ジョンソン著/藤田優里子訳(2010)『リトル・ピープル』- 創元社
- 井村君江(1996)『ケルトの妖精』- あんず堂
- トニー・アラン著/上原ゆうこ訳(2009)『ヴィジュアル版 世界幻想動物百科』- 原書房
- エドゥアール・ブラゼー著/松平俊久監修(2015)『西洋異形大全』- グラフィック社