妖精データベース
ジャックフロスト
Illustrator : SHIZ
- 名称 ジャックフロスト(Jack Frost)
- 分類 寒さをもたらす妖精
- 生息地 南国以外の世界中
- 特徴 触れたものを凍らせることができる
- 体長 子供から大男の背丈までさまざま
ジャックフロストの痕跡を探しに出かけよう!
ジャックフロストとは―冷気を操る冬の妖精―
ジャックフロストは、冷気を操る妖精だ。冬の訪れと共にやってきて、夜の間に窓を凍らせたり、庭に霜を降ろしたりする。
彼らの見た目は実にさまざま。例えば、子供位の背丈で無邪気に走り回るジャックフロストがいる。一方で、たっぷりのひげを蓄えた大男なジャックフロストがいる。まるでサンタクロースのようだ。はたまた、雪だるまに化けたジャックフロストに驚かされたという情報もある。
どんな容姿にしても、ジャックフロストはいたずら好きな男の子の妖精であることが多い。女の子のジャックフロストはかなり珍しく、見ることができたらとてもラッキーだ。
冬が来たら、自分の周りにはどんなジャックフロストがいるのか探してみるといい。アッと驚くような姿のジャックフロストが隠れているかもしれない。
残念ながら、春や夏には彼らの姿を目にすることができない。冬の終わりが近づいて暖かくなってくると、溶けて姿を消すという。次の冬が来るまでジャックフロストがどこにいるのか、知る者はいない。
ジャックフロストを探すなら、冬になったらすぐがいい!
雪結晶も真っ赤な鼻も!ジャックフロストの痕跡
冬場、車の窓ガラスに雪結晶が付いていたら、間違いなくジャックフロストがやってきた証拠だ。
彼らは自分の存在を示すのが好きなので、いろいろな所に痕跡を残す。霜や結晶、雪だるまなど、ジャックフロストが残した印を辿りながら街を散歩するのは、子供たちに人気の冬の遊びとなっている。
ジャックフロストの多くは悪さをしない。冬をもたらし、季節の巡りを担っている妖精なのだから。
しかし、常に遊び心を忘れないのが、ジャックフロストの良いところ。この妖精は、時に透明で目に見えないことがある。
それをいいことに、彼らは人間の鼻先や耳をつまんで赤くさせてしまう。寒い日に外に出て、鼻先や耳が赤くなったことがあるだろう。これもまたひとつ、ジャックフロストが残した小さな痕跡だ。
実は売れっ子のジャックフロスト
ジャックフロストといえば、映画やゲームでも親しまれている。画面の中のジャックフロストを見て、そのキャラクターを知っている人も多いだろう。
ジャックフロストは実際に、愛らしい見た目やヒーロー的な存在で人気となった妖精だ。雪だるまになったジャックフロストはかわいいし、子供たちの良い遊び相手になってくれる。
昔戦いが起きた時には、ジャックフロストの活躍で敵が凍え、勝利することができたという逸話もある。冬は寒くて暗いイメージがあるが、実はジャックフロストはとても頼りがいのある、人気の高い妖精なのだ。
ジャックフロストが人気の理由は、それだけではない。ジャックフロストが来ない冬は、地球にとっても不健康だ。冬が十分に寒くならないと、一年のリズムが崩れてしまう。
とりわけ農業をしている人は、寒さを味方に付けなければいけない。冬の間に土地を休ませ、たっぷりの雪解け水を畑中に行き渡らせる必要があるのだ。
秋から冬にかけてジャックフロストが来たら、季節が元気な証拠。盛大にお迎えしよう!
銀色の葉が美しい「ジャックフロスト」
「ジャックフロスト」という植物が存在するのをご存知だろうか。ひし形やハート型の大きな葉に、霜のような銀色の模様が浮かび上がる植物だ。
銀色の葉に緑の葉脈が広がる様子は、まるで雪一面の草原に細長く伸びる馬車道のようだ。
妖精のジャックフロストが冬を象徴するように、植物の「ジャックフロスト」も暑い夏は苦手。涼しい地域や日陰に自生しているので、心当たりがある場所を探してみてはいかがだろうか。
暖かい季節にだけ現れる、綺麗な模様を楽しもう。
Tips
スコットランドで有名な「カリアッハ・ヴェーラ」は、ジャックフロストと同じく冬に活動する妖精だ。痩せた老婆の姿をした彼女は、動物たちの冬眠を見守る冬の化身。4月の末には自らの身を石に変え、次の冬まで眠りにつく。
― 関連書籍 ―
- エドゥアール・ブラゼー著/松平俊久監修(2015)『西洋異形大全』- グラフィック社
- クリエイティブ・スイート編(2010)『妖精・精霊がよくわかる本』- PHP研究所
- ポール・ジョンソン著/藤田優里子訳(2010)『リトル・ピープル』- 創元社
- 水木しげる『カラー版 妖精画談』(1996)- 岩波新書
- 草野巧著/シブヤユウジ画(1999)『妖精』- 新紀元社
- 井村君江(1993)『イギリス・妖精めぐり はじめての出会い』- 同文書院
- キャロル・ローズ著/松村一男監訳(2014)『世界の妖精・妖怪事典』- 原書房
- 井村君江(2008)『妖精学大全』- 東京書籍